WEBライターの業務は大きく2つ、「記事構成」と「文章作成」です。
今回は「文章作成」に関して、ライターが気を付けたい「ストレスを与える文章」について解説していきます。
WEBライターの活動の大部分を占めるのが「文章作成」です。WEBライターとして働くと、原稿に対して誤字脱字の指摘、不適切な表現などで修正が発生します。原稿の修正経験は誰もがあることでしょう。
誤字脱字については、次から気を付けたり、文章校正ツールを使うなどでカバーすることができます。しかし、文章表現の品質を高めることは簡単ではありません。
表現スキルが低い文章は「稚拙」と言われ、読者にストレスを与え、記事全体が低品質であると判断される原因となります。
文章の稚拙さは、修正内容を言語化しづらい、指摘箇所が多い、などにより漏れなく指摘することが難しいという傾向にあるため、ライター本人はもちろん、ディレクターも見落としやすいです。稚拙な文章が放置されていると、突然のクレームや失注へと繋がります。
この記事では、知らずのうちに文章が稚拙になっているWEBライターから脱却するためのポイントを網羅的に解説していきます。
表現の稚拙さを指摘されたことがある方はぜひ最後まで読んでください。
読者はなぜ稚拙な文章だと感じるのか?
文章表現を改善するテクニックの前に、「稚拙な文章」を理解するところから始めましょう。
読者が文章を稚拙だと感じる点は大きく3パターンに分けられます。
- 理解がしづらい文章
- 疑問や不信感を生む文章
- その他稚拙な表現
それぞれ詳しく解説していきます。
理解しづらい文章が与える悪印象
記事の中で最も起こりやすいのが、「文章の理解がしづらい」という問題です。
まずはこの点を理解することで、一文一文のクオリティを高めるための基礎となります。
理解しづらい文章が与える悪印象について分解すると、以下のようになります。
A:理解しづらくストレスを感じる
┗ ①意味が取りにくい表現に戸惑う
┗ ②冗長で要点が曖昧なため集中できない
┗ ③論理の飛躍や矛盾に混乱する
B:理解しづらく疑問や不信感を抱く
┗ ④根拠不足で説得力がない
┗ ⑤事実関係に疑問を感じる
┗ ⑥偏った主張に納得できない
それぞれ解説していきます。
理解しづらくストレスを感じる文章について
文章を読んでいてストレスを感じた読者は、記事を読む気が失せてしまい、そのサイトを離脱するでしょう。
ストレスを感じる文章の傾向を掴み、自分の文章に当てはまる部分がないか確認してください。
①意味が取りにくい表現に戸惑う
「意味が取りにくい表現に戸惑う」ということが起きる理由としては、以下の5点が挙げられます。
難解な専門用語の多用
専門分野の知識がない読者にとって、説明なしに専門用語が多用されていると、その言葉の意味が分からず理解を阻害されます。
読者が理解できない言葉について調べるために検索を行いやすいため、サイト離脱を直接起こしやすいミスです。
これを回避するためには、専門用語を理解できる解説を、同じ見出し内に入れておきましょう。
専門用語を使うこと自体は問題ありません。読者目線で専門用語が理解できない状態であることが問題であるため、それを解消しておけば大丈夫です。
曖昧で抽象的な表現
具体性に欠け、あいまいな表現が多用されていると、書き手の本当の意図が読み取れず、意味が掴みづらくなります。
「この文章を読んでいる時間が無駄だ」と読者に気づかれれば、その瞬間に離脱につながるでしょう。
曖昧な文章を書いてしまう要因としては、当該記事のテーマについて理解が低いことがあります。
しっかりと記事のテーマについて理解ができていれば、具体的で的確な言葉遣いを用いて、豊かな情報量と説得力のある文章を作ることができます。
文法的な誤りや非明示的構文
話し言葉的表現や、明示的でない構文が多用されていると、文章の論理構造が分かりづらくなります。
稚拙な表現だと評価されやすい文章です。
明示的でない文章の代表例としては、以下が挙げられます。
①指示語を多用している
「この」「あの」など、主語が明示されていない文章は理解を阻害しやすく、読者に軽微なストレスを与えるでしょう。
特にWEB記事は、読者は興味のある個所や、重要と思われる箇所だけを無意識的に読み飛ばす傾向にあります。どの部分から読んでも、何についての説明をしているのか、しっかりと理解できる配慮が必要です。
②前置き修飾と後置き修飾が混在している文
「私の読んだ面白い本」と「面白い私の読んだ本」では意味が変わります。
ライターとして、書いた文章を頭の中で一度読んでみて、すんなりと理解できるものかどうかをチェックする癖をつけてください。
無秩序で整理されていない文章展開
因果関係や論理展開が明確でなく、無秩序に内容が書かれていると、全体の意味関係が掴みづらくなります。
典型例と合わせて、解消するためのポイントを説明します。
【典型例1】話題の飛躍
一つのトピックから次のトピックへと飛躍し、話の流れが分かりにくい文章です。
トピック間のギャップが大きすぎる場合に起きるもので、冒頭文章などでよく見られます。
例:「最近の経済情勢は厳しい。ところで運動することは健康にいい」
【解消のポイント】
①トピックの切り替わりに橋渡しの文章を入れ、つながりをスムーズにする
例:「最近の経済情勢は厳しい。経済情勢が悪化することで、労働環境も悪化しやすく、人々は健康のための十分な時間が取れなくなる。その点で見直されてきているのが運動の健康効果である。」
②トピックのギャップが小さいものに修正する
例:「高齢化社会が進んでおり、高齢者の健康促進は重要な課題である。そこで運動が健康に与える効果ついて改めて考えてみよう。」
【典型例2】行き当たりばったりの展開
書き手の思いつきで並べただけの無計画な文章は、計画性やストーリーを感じさせず、意味不明でつまらないものになります。
例:「就職した→両親に感謝→大学4年間の思い出→面接の受け答えが大事」
【解消のポイント】
①文章の狙いと主題を明確にし、主従関係を意識した構成を心がける
この例では、一見無関係に見える内容が並べられており、全体として一貫したメッセージや主題が読み取れません。
- トピックの切り替わりに無理がある
- それぞれの内容に主従関係がなく並列している
- 全体を貫く筋道や論理性に欠ける
上記の点に当てはまっていると、「何も考えずに文章を書いているな」と判断されてしまいます。
何について書いている文章なのか、最初に狙いや主題を明確にすることで、全体の理解がしやすくなります。
②論理的な流れになるようアウトラインを決めてから執筆する
文章を書く前に、主題に合わせてトピックの構成を検討することが重要です。
例に挙げた文章でいうと、「就職活動に関する内容」に絞り込み、順序立ててアウトライン化することが考えられます。
その中で不要と思われるトピックを削るなどして、読者の混乱を招かないトピックのみで構成しましょう。
【典型例3】冗長でくどい表現の連発
同じ内容の繰り返しが多く、要点が不明確な文章は低品質です。
以下は極端な例ですが、俯瞰してみるとこのような文章になっているライターが散見されます。冗長表現は特に気を付けて振り返ってください。
例:「社会には様々な課題が山積している。私たちは多くの課題に直面している。これらの重要な課題には適切に対処しなければならない。そうした対処を怠れば、課題は解決されないままになってしまう。」
この例では、「社会の課題」についての同じ内容を、言い換えを重ねただけで冗長に繰り返しています。要点が「課題に適切に対処する必要がある」ということなのですが、その主張がくどい表現の中で曖昧になってしまっています。
【解消のポイント】
①まず要点をまとめて一文で簡潔に述べる。要点を受けて、具体例や新たな論点を展開する。
例:「社会が抱える重要な課題に、私たちは真剣に取り組まなければならない。特に環境問題や貧困問題などは、深刻さを増している…対策を講じないまま放置すれば、地球温暖化が加速し…」
②論理の流れに沿った、段落分けと接続詞の適切な使用
「したがって」「また」「一方で」など、適切な接続詞を用いて文章の流れをスムーズにする。
③同じ単語・表現の繰り返しは避ける
「課題」ではなく「問題」など、別の表現を使い分ける。
このように、適切な語彙選択、明確な文章構造、要点の明示など、表現の仕方に難があると、その文章の意図や内容を理解するのが難しくなり、読者は戸惑いを覚えてしまいます。
プロのライターは、そうした戸惑いを与えない丁寧な表現を心がけなければなりません。
②冗長で要点が曖昧なため集中できない
「文章の冗長さ」は理解をしづらくなる他、記事のテンポが悪くなる、意味の薄さが目立つ、など読者に多くのネガティブな印象を与えます。
冗長な文章にすぐに気づくことができれば、文章の品質を高めやすくなります。
冗長な文章については、以下の記事で詳しく解説しています。
冗長さについて指摘されたことがある人は合わせてご覧ください。
▶冗長表現を直したい!WEBライターとしてレベルUPするため冗長な文章を理解しよう
冗長な表現
「同じ内容を繰り返し述べる」、「あいまいで情報が少ない文章」といった「冗長な表現」が多いと、要点が分かりにくくなるほか、読む価値の無い文章だと判断されやすくなります。
PREP法を使う際に起こりやすいため注意が必要です。
PREPそれぞれが1文など、少ない情報量で構成される場合、PとPの文章が近くなり、同じ内容が繰り返されていると感じやすくなります。この場合、REの情報を濃くすることで対応できるので覚えておきましょう。
③論理の飛躍や矛盾に混乱する
論理の飛躍とは、前提と結論の間に大きな飛躍や抜けがあり、論理的につながっていない状態を指します。
前提から自然と帰結する結論とは程遠く、根拠が希薄な主張になってしまうため、稚拙だと思われる表現です。
論理の飛躍や矛盾がある文章は、以下のような問題があります。
- 主張や結論の根拠が曖昧で説得力がない
- 読み手に納得感や理解を与えられない
- 信ぴょう性が低く、正確性に欠ける
- 一貫性がなく混乱を招く
上記のような問題がある文章は、WEBコンテンツとしては低品質です。
WEBライターは、論拠に基づいた明確な主張を心がけ、前提と結論をしっかりとつなげる必要があります。一貫性のある論理的な構成で、読み手に確実に内容を伝えることが大切です。
論理の飛躍|具体例①
オンラインゲームに夢中になり、学校に遅刻が増えている子どもが増えています。
そのため、オンラインゲームを規制する法律を作ることが有効かもしれません。
前提と結論の間に論理的なつながりがなく、いきなり法律の話になる極端な飛躍があります。
「法律が必要だ」と断言しているわけではなく逃げ道がありますが、結論付けに疑問が残る文章です。
また一文目の主語「オンラインゲームに夢中になり、学校に遅刻が増えている子ども」に対して、明確な根拠を示さずに「増えています」と言い切ってしまっているのもイマイチです。
論理の飛躍|改善例①
最近では、オンラインゲームに夢中になり、学校に遅刻が増えている子どもが増えているといいます。
そこで、香川県が提唱した「ゲーム規制条例」を筆頭に、子どもたちのゲーム利用を制限すべきという声も挙がっているようです。しかしながら、一部の生徒の遅刻の原因からゲーム全体を規制するのは行き過ぎといえるでしょう。むしろ、生徒自身が時間管理の大切さを自覚し、ゲームとの付き合い方を見直すことが重要です。
一文目の主語は変わりませんが、「最近では」「~といいます」と表現を工夫することで、根拠を提示しなくても「一般論的にそうだよね」と納得感のいる書き出しになっています。
また条例についての話題を入れて、具体性を高めています。そして、その条例に対してメディアの見解を入れることで、独自性のある内容かつ筋の通った内容になっています。
ライターであれば書いていく記事に関する時事ネタについても一通りキャッチアップし、適宜記事に入れられる程度の教養を身に付けるべきです。
論理の飛躍|具体例②
企業は、従業員の健康についても配慮をする必要があります。
健康維持のためには運動が有効ですので、企業は従業員の運動を義務化したり、運動することでのインセンティブなどを導入すべきといえます。
「従業員の運動」に対して働きかけることは間違いではありませんが、「義務化」「~すべき」と、考え方の偏りを感じる言葉選びをしています。
考え方の偏りを感じる文章は、浅く感じられます。
また、この文章を読んで「運動が得意でない・嫌いな人」や「忙しくて運動する時間がない人」が不快になるかもしれません。
様々な趣味趣向を持った読者の心理にも配慮した文章を心掛けてください。
それでも1つの方向性で断言したいときは根拠を明確にしましょう。
論理の飛躍|改善例②
企業は、従業員の健康についても配慮をする必要があります。
健康維持には運動が大切だと言われていますが、基本的に運動は個人の自由意志に基づくべきで、会社が強制するのは望ましくありません。
そのため、従業員が自発的に健康増進を意識するための施策を検討することが望ましいでしょう。実際に従業員の運動に対する意識を高める取り組みとして、社内で無料で利用できるジムを導入したり、運動に対して健康ポイントを付与するなどのインセンティブ制度を設ける企業が現れてきています。
具体例は、極端な考え方に加えて、根拠の乏しさから論理の飛躍を感じる文章でした。
改善例では、「運動は大切」というスタンスは変えていませんが、インセンティブが有効だと断言はしていません。あくまでも「運動はいいもの」としつつ、「個人の自由意志」を尊重しています。
文章の矛盾について
矛盾とは、文章の中に相反する主張や事実関係が存在し、一貫性がなく整合性を欠いた状態を指します。
記事を書いていると矛盾が起きることは珍しくなりません。矛盾が発生すること自体問題なく、なぜ矛盾した状態が起きているのかを説明した上で、主張の一貫性を明確にすれば問題ないケースが多いです。
論理の飛躍や矛盾については、以下のポイントを抑えて改善していきましょう。
- 根拠や前提条件をしっかり示す
- 論理的な筋道を丁寧につなげる
- 矛盾が起きている背景を説明する
- 具体的で現実的な解決策を示す
理解しづらく疑問や不信感を抱く文章について
理解しづらく疑問や不信感を抱かせる文章には、メディアとしての信頼性の低下、不快感の誘発などのネガティブな印象が生まれます。
特に企業として情報発信しているオウンドメディアの場合、非常に嫌がられる要素であると理解しましょう。
疑問や不信感を抱かせるコンテンツは、見る人の満足度を下げ、離反を生みます。SNSで記事が炎上拡散する可能性もあります。
その最たる例といえるのが「ウェルク(WELQ)」の炎上事件です(WEBライターであればWELQ事件は教養として知っておきましょう)。
「WELQ」は“ココロとカラダの教科書”をテーマとして、医療情報を中心とした記事を発信していたメディアでした。最盛期は月間630万ユーザーと言われるほど多くの読者がいたようですが、、「ガンやあらゆる病気を治す水(水素水)」「死ぬこと以外に効果のあるブラックシード」などの記事が炎上したことを発端に、マスメディアも巻き込んだ騒動となり、結果閉鎖となりました。
上記は極端な例ですが、記事から生まれる疑問や不信感は、ユーザーの離反が発生します。
WEBライターは疑問や不信感が生まれる文章への理解を深めて、予防するようにしましょう。
④根拠不足で説得力がない
説得力のある文章を書くためには、適切な根拠を示すことが重要です。
根拠が不足していると、主張や結論に説得力がなくなってしまいます。
根拠不足の具体例
最近の学生の就職活動を見ると、「最近の若者は惰性的であり、社会に出ても活躍できない」と思える人が多い。
最近では「自己肯定感」を重視しすぎる傾向もある思われる。なので、義務教育のうちから厳しく指導することが重要だ。
文章の問題点
- 「若者は惰性が高い」と決めつけているが、根拠が示されていない
- 「社会で活躍できない」と断言しているが、根拠が不足
- 主張や結論を支える具体的な事実やデータがない
このように、明確な根拠なしに主観的な意見を並べただけでは、読み手を納得させることはできません。説得力に欠けた文章になってしまいます。
根拠が薄く、説得力のない文章は、論理の飛躍も起こしやすいため注意が必要です。
改善のポイント
- 具体的な統計データや事例を根拠として提示する
- 専門家の見解や研究結果を引用する
- 客観的な事実関係から合理的な推論を行う
- 自身の経験に基づく具体例を挙げる
上記のような、信頼できる根拠に基づいて論理的に説明を行うことで、結論や主張に説得力が生まれます。
WEBライティングにおいて、根拠の有無は記事全体の質に影響します。根拠に裏付けされた説得力のある文章を心がけることが求められます。
⑤事実関係に疑問を感じる
事実関係に疑問を感じる文章は、信ぴょう性や説得力を大きく損ねる恐れがあります。
以下のような点に注意が必要です。
事実関係が曖昧な例
最近の学生は、携帯ゲームなどに熱中しているため、学業に専念できていない。そのため成績が伸び悩んでいる。
事実関係が曖昧な文章例の問題点
- 「最近の学生」と 一般化し過ぎ
- 「携帯ゲームに熱中」の実態が不明確
- 「成績が伸び悩む」原因が携帯ゲームにあるという因果関係の根拠が示されていない
このように、具体性が乏しく事実関係があいまいだと、読み手は文章の内容を正しく理解できなくなり、疑問や不信感を抱いてしまいます。
事実関係の曖昧さを改善するポイント
- 具体的な数値データや事例を盛り込む
- 出典や根拠となる調査結果を明記する
- 一般化は避け、対象を特定する
- 因果関係がわかるよう丁寧に説明する
事実関係の曖昧さの改善例
文部科学省の調査では、日本の高校生の約35%が『勉強が手につかない理由』として『携帯ゲームやSNSに夢中になるから』を挙げています。また、同調査で携帯ゲーム等に没頭する生徒ほど、学業成績が低い傾向がみられました。ゲームやSNSの適切な使用方法や時間管理を指導することで、勉強時間を確保し、成績アップにつなげられるでしょう。
このように、信頼できるデータや調査結果を、わかりやすく具体的に示すことで、文章の事実関係が明確になり、疑問や不信は生じづらくなります。WEBライティングでは、このような事実に裏付けられた分かりやすい記述を心がける必要があります。
⑥偏った主張に納得できない
偏った主張や記述は、文章の客観性と公平性を損ない、読み手の不信感や反発を招く恐れがあります。
具体例を交えながら注意点を解説していきます。
偏った主張の具体例
最近の若者は、SNSにのめり込みすぎて現実を見失っている。
SNSはそもそも有害で、若者を堕落させる元凶であり、規制が必要不可欠だ。
偏った主張を含む文章の問題点
- SNSを一方的に「有害」と決めつけている
- 若者のSNS利用をすべて否定的に捉えている
- 極端な表現(「堕落」「元凶」)を用いている
- SNSの功罪を十分説明せず、主張が偏りすぎている
このように、一方的な価値観や極端な表現で主張していると、公平性や中立性がなく、読み手に不快感や違和感を与えかねません。
記事のターゲットを意識することは大切ですが、それ以外の誰かを不快にしてよいわけではないことは留意してください。
偏った主張を含む文章を改善するポイント
- 多角的な視点から物事を捉える
- メリットとデメリットの両面を客観的に示す
- 過激な表現は避け、中立的な言い回しを心がける
- 論拠に基づいて建設的な解決策を示す
偏った主張を含む文章の改善例
SNSの普及によって、若者がリアルなコミュニケーション力を失いがちだと指摘する声もあります。
確かに、過度の利用は精神的に悪影響を及ぼす可能性があります。一方で、SNSは新しい発信力や交流の場を生み出しています。課題はSNSとの適切な付き合い方を見つけることです。保護者や学校などが利用のルール作りに関与し、リテラシー教育を充実させることで、SNSのメリットを最大限に活かせるはずです。
このように、多角的な視点で物事を捉え、中立的な言い回しを用いながら、建設的な提案をすることが重要です。
WEBコンテンツでは、公平性と客観性のある分かりやすい記述を心がけることが求められます。
説得力を高める「一次情報」について
説得力を高める上で重要となるのが「一次情報」の活用です。
一次情報とは、情報の生産者である当事者から直接得られる情報源のことを指します。具体的には以下のようなものがあげられます。
一次情報の例
- 専門家への直接取材や講演会での発言
- 国・企業・団体から公開された報告書や統計データ
- 現場での体験・聞き取りに基づく情報
- インタビューで得られた本人の意見や経験談
- 実験や観察から得た事実やデータ
- 論文などの一次資料から引用した内容
一次情報は情報源が明確で、それを引用した記事(二次情報)に比べて信頼性が高いというメリットがあります。
他方、一次情報を扱う際は以下の点に注意が必要です。
- 情報源の専門性や権威性を見極めること
- 偏りや主観が入っていないかを吟味すること
- 一つの情報源だけに頼らず、複数の一次情報を組み合わせること
- 適切に出典を示し、引用元がわかるようにすること
一次情報の調べ方
一次情報のサーチに役立つのが「まとも検索!!」です。
「まとも検索!!」は、公的機関・大学・大学病院・国内論文などに絞った検索結果を出力することができる検索エンジンです。
記事のキーワードやメタテーマについて検索することで関連する一次情報を調べやすくなるため、活用しましょう。
WEBコンテンツで説得力のある記事を書く場合、一次情報を根拠として示すことが非常に有効です。
信頼できる第一手の情報に基づいて論理的に説明することで、記事の客観性と専門性が高まり、読み手の納得を得やすくなります。WEBライターには一次情報を適切に活用する力が求められます。
その他稚拙な表現
細かい単語単位でも、稚拙さに繋がるものがあります。ライターとして文章を作っている中で、これに該当する言葉選びをする時点で、まだまだ半人前といえます。記事を書いてお金を貰っている以上、この点は留意してください。
メディアのトンマナによっては許されることもありますが、その他稚拙な表現に該当するものは、原則として使わないように注意しましょう。
口語的な表現
口語的表現を記事で使うことは、文章表現として不適切です。「雑に感じ品位を欠く」「経験の浅い新人が書いている(=内容に信頼性が薄い)」など、使うことのメリットはほとんどありません。
~のもありです
「そっちを選ぶのもあり」などの使い方をしてしまう人がいますが、「~のがよいでしょう」と言い換えましょう。
~けど
「けど」は話し言葉で、書き言葉では「けれども」「けれど」を使います。「けれど」もビジネスシーンでは、あまり馴染みがないので言い換えの例を参考に修正してください。
また、「けど」とその言い換えを使う場合は、一文が冗長になることがあるので、「~です。しかし~」など、文章を区切る判断も持っておくことがライターとしては大切です。
言い換えの例としては、以下のようなものがあります。文脈に応じて選んでください。
- しかし
- 一方で
- だが
- しかしながら
- それなのに
- それでも
- でありながら
~でいいです。~がいいです。~がいいんです。
「問題ありません」、「よいでしょう」、「望ましいでしょう」などに言い換えてください。
また、「いいんです」よりは砕けていないですが、「いいのです」も話し言葉に当たりますので使わないようにしましょう。
こんな
「こんな風に」」「こんな時、」などは修正しましょう。
言い換えの例として「このような」、「この場合」、「こういったケースでは」などが挙げられます。
同じ文末表現の連続
同じ記事を書く際、同じ文末表現が続くこともライターとして避けるポイントです。
絶対に連続していけはいけないというわけではありませんが、最低でも2回まで、それを1記事に1回のみ程度に抑えるようにしましょう。
同じ文末表現が続くことには、以下のようなデメリットがあります。
単調になり読みづらくなる
「…です。…です。…です。」と同じ文末表現が続くと、リズム感がなく単調な印象を受けてしまいます。
読者の集中力が途切れる要因です。
冗長になる
似たような表現の繰り返しは冗長になり、要点が分かりづらくなります。
表現の幅が狭くなる
文末表現に多様性がないと、記事の表現力が制限されてしまいます。
語彙や文体のくせが出やすい
「…ことである。…ことである。」など、無意識に特定の表現に偏ると、語彙の偏りや文体の癖が目立ちやすくなります。
平板で面白みに欠ける
「…です。…です。」と平板な表現が連なると、記事に変化や起伏がなくなり面白みに欠けてしまいます。
同じ文末表現が続く際の対策
同じ文末表現が続かないように、「~です」、「~ます」、「~しょう」、「~しれません」など、バランスよく使っていきましょう。
以下のように、メディアのトンマナに合わせて体言止めも活用できることがあります。
- 要点を確認することがポイント。
- 長らく社会課題となっている少子化問題。
意識的に文末表現を変化させる工夫が、上手な記事ライティングには欠かせません。多彩な表現方法を心がけ、単調にならないよう気をつけてください。
略称や常用漢字
細かいクライアントでは、常用漢字の取り扱いも指摘される可能性があるので注意しておきましょう。
例えば、「慶応大学」→「慶應義塾大学」が挙げられます。どちらも間違いではありませんが、「なぜそちらの表記にしているのか」を説明できるのが、隙の無いライターです。
NHKの放送文化研究所のHPで、以下のようなQAがありました。
Q.テレビの番組で「慶応大学」と示したところ、「慶應大学」とすべきだという指摘を受けた。「慶応大学」ではいけないのだろうか。
A.当事者である会社や大学では「慶應」と表記していますが、NHKをはじめとして新聞社および通信社では、「常用漢字表」に掲載されており、多くの人にわかりやすい「応」を推奨しています。
NHK放送文化研究所|「慶應」か「慶応」か
NHKの放送では、「常用漢字表」に掲載されている漢字が使われている固有名詞(会社名や学校名の場合)は、一般名詞と同様の扱いで「常用漢字表」に掲載される「通用字体」を使うことを優先させています。
読者目線であえて使っている、という意図があれば指摘される前に説明をして、クライアントの判断を仰ぐべきでしょう。
クライアントに説明するのは、ディレクターの役割であることも多いので、ディレクターも気づかない細かい部分の意図はしっかりと事前共有しておくとトラブルを避けることができます。
まとめ
低品質な文章として判断されてしまう、文章が稚拙になるポイントについて解説しました。
様々なポイントについて紹介してきましたが、端的にいえば「理解しづらい/フォーマルでない」ということがほとんどの要因です。
たった1文、稚拙な表現を使っただけで、記事全体が低品質と判断されることがあります。この記事で解説したポイントはすべて頭に入れ、書く文章に登場しなくなるまで訓練することが大切です。