WEBライターであれば、一度は指摘を受けたことがあるのが「文章の冗長さ」でしょう。
冗長な表現は、WEBコンテンツとしては望ましくありません。特にWEBコンテンツの読者は簡潔で分かりやすい情報を求める傾向にあり、冗長な説明は注意力の低下や閲覧中止を招くからです。
記事ライティングを発注するクライアントも、冗長表現については気を付けて見ていることが多い傾向にあります。
この記事では、冗長表現への理解が深まる基本事項から、冗長さ解消のポイントまで網羅的に解説します。
冗長表現について注意されたことのあるWEBライターは最後までご覧ください。
「冗長表現」とは?
WEBライティングにおける「冗長表現」とは、必要以上に言葉を重ねたり、同じ内容を繰り返したりする表現です。
冗長な表現は、複数の文章がまとまって起きたり、一文単位でも発生します。
冗長表現に気づき、その場で修正できるWEBライターになることが、初心者から脱却する始めの一歩といえるでしょう。
「端的さ」に偏ることもNG
勘違いしやすいのですが、「短い文章なら冗長ではない=OK」というわけではありません。
WEBコンテンツにおける理想的な文章は“過不足なし”です。中身の薄い文章がダラダラと続いているのは良くない一方で、端的すぎて情報が不足していてもNGです。
例えば、以下の文章であれば①の方が短いですが、低品質です。具体性が乏しく、周辺情報が不足しています。受験生にとって役立つ情報が含まれておらず、低品質と評価されます。
①受験勉強は非常に大変です。しっかり勉強しないと合格できません。
②受験勉強は決して楽ではありませんが、効率的に取り組めば確実に結果につながります。
まずは志望校に合わせて、受験対策の全体像を把握し、自分に合った学習プランを立てることが重要です。その上で、苦手分野の克服に重点を置き、反復学習で理解を深めていきましょう。自分の得意・不得意を明らかにし、間違った箇所を徹底的に直すことで実力の底上げが期待できます。
②の文章は、受験勉強についてより解像度の高いアドバイスが盛り込まれています。受験生が参考にできる有益な情報も適切に含まれているため、高品質と言えます。この文章に続く見出し群で、より詳細な周辺情報の解説を行うことで、記事全体が一貫性のある高品質なものとなるでしょう。
見出しごとに、どの程度まで周辺情報を盛り込むのかを考えながら文章作成をしてください。
周辺情報は、記事全体のテーマからズレすぎないよう、迷ったらディレクターに相談することも大切です。
冗長表現が与える悪印象
同じ内容を繰り返し述べる冗長な表現が与える悪印象には、以下のようなものがあります。
- 文章のテンポが悪くなる
- 要点が分かりにくくなる
- 情報が薄くなる
上記が多い記事は、「稚拙で読む価値の無い文章」だと判断されてしまい読者を逃します。
やってしまいがちな冗長表現7選
初心者WEBライターがやってしまいがちな冗長表現の大枠は以下の通りです。
- 同じ言葉や表現の不要な繰り返し
- 同じ意味の言い換えが続く冗長な説明
- 前置き・後付けの無駄が目立つ表現
- 補足や付随的な説明が長くて主旨がぼやける
- 言いたいことが明確でない、あいまいな表現
- 不必要な敬語・丁寧表現
- 助詞の連続
上記6つを把握することで、冗長表現の全体像が理解できます。冗長表現に当たるものを知ることで、書いた文章の修正箇所により気づけるようになるでしょう。
ここから具体例を挙げながら解説していきます。
冗長表現の具体例と修正例
冗長表現にはいくつかの種類があります。
それぞれの具体例を解説しつつ、修正例を合わせて解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
同じ言葉や表現の不要な繰り返し
全く同じ言葉の繰り返しは当然ですが、同じ意味を持つ言葉や、類義語の重複は冗長表現と見なされます。
具体例と修正例を3つ解説しますので、自分の文章に当てはめてブラッシュアップできる場所を探してみましょう。
具体例①
「私たちの会社は、会社として長年にわたり培ってきた社歴があるからこそ、企業として高い評価を得ているのです。
修正例①
「当社は、長年にわたり培ってきた経験と実績があるからこそ、高い評価を得ているのです。」
同じ主語が複数回登場するケースは、主語を1つにまとめることを検討してください。
この場合、1文が長くなりすぎることにも注意が必要です。必要に応じて文章を分けることが大切ですが、単純に文章を2つに分けてしまうのはNG。情報量が薄くなるので適宜別の情報を足すなど調整しましょう。
具体例②
「彼女は料理が大好きです。特に和食を作るのが得意のようです。」
修正例②
「料理が彼女の大の趣味です。特に和食作りが得意で、休日はよく新しいメニューに挑戦しているようです。」
修正例②のように、1文目と2文目に情報量の差が少ないと、意味が薄く感じられることで冗長になります。
2文目で言い換えや新しい情報を加えることで、単純な繰り返しを避けられます。
具体例③
試合に勝つためには、選手全員が一丸となって団結しなければならない。
チームワークが大切なのは言うまでもない。
上記は、「チームワーク」「一丸となる」という同じ意味の表現が2文で繰り返されています。
この例が問題ないように見える人は要注意です。クライアントはこのような細かい部分まで目を光らせています。
修正例③
試合に勝つためには、選手全員が一丸となって団結しなければならない。
個々の力だけでなく、助け合う連帯意識が勝利の鍵となる。
このように、2文目で前の文章をうまく言い換え、新しいニュアンスを加えることで、冗長な繰り返しは避けられます。
同じ意味の言い換えが続く冗長な説明
同じ意味の表現を重ねて説明することは、代表的な冗長表現の1つです。
※ただし軽微ですので、記事全体で数回程度の使用であれば問題ないとみなされることも多いです。
言い換えが何度も続く冗長な文章は、WEBの読者にとってストレスで、注意力が持続しづらくなります。内容の要点があいまいになり、こちらの意図するメッセージが伝わりにくくなるリスクもあります。多様する癖のあるライターは注意しましょう。
こちらは2文を簡潔に1文にまとめることで、意味が伝わりやすく改善ができます。
具体例①
新入社員研修では、社会人としてのマナーを学びます。
社会人としての心構えや作法を身につけるのが、この研修の目的なのです。
修正例①
新入社員研修では、社会人としてのマナーや作法を身につけることを目的としています。
「社会人として」が2つあることに気づければ、修正することができるでしょう。
具体例②
サービス業ではお客様第一が何より大切です。
お客様を喜ばせ、満足していただくことが最重要課題なのです。
修正例②
サービス業ではお客様の満足が何より大切で、当社でも最重要課題として掲げています。
なぜなら当社売上のうち、80%以上がリピーターのお客様であるためです。
1文目に登場した「お客様第一」を、2文目で詳しく解説していますが、同じようなことを言っていますね。当たり前のことをわざわざ書いてしまうことから稚拙に感じます。
この2文はまとめてしまい、新たな情報を付け足すことで読む価値のある文章に改善できます。
具体例③
私たちの会社の強みは、高い技術力があることです。
確かな技術力を持ち合わせているからこそ、高い評価を得ているのです。
修正例③
当社の強みは、確かな技術力があることです。その高い技術力が市場から評価されています。
1文目もギリギリ許せるラインの方もいるかもしれませんが、修正例のように端的にまとめることができます。
前置き・後付けの無駄が目立つ表現
丁寧さや論理的な説明にこだわるあまり、冗長な前置きになる場合があります。
他にも、言いにくいことや否定的なことを避けたり、書く立場を意識しすぎることも要因になります。
WEBコンテンツにおいては、気遣いよりも簡潔で分かりやすい表現が最優先されることを意識する必要があるため留意しましょう。
具体例①
子どもの学習に関しては、当メディアなりの意見を述べますと、まずは興味関心を持たせることが何よりも大切だということです。
つまり、「子どもが自発的に学ぼうとする気持ち」を、いかに引き出すことができるかが重要となります。
修正例①
子どもの学習では、まず子どもに興味関心を持たせることが何よりも大切です。
つまり、「子どもが自発的に学ぼうとする気持ち」を引き出せる環境であるか否かが、学習効果を左右するでしょう。
補足や付随的な説明が長くて主旨がぼやける
WEBライティングでは、キーワードが決まっていることもあり、本題の主旨がブレないことが重要です。
補足や付随的な説明が長くなり過ぎて、本題の主旨がブレてしまうと冗長と判断されるでしょう。
具体例①
最近の子育て家庭を取り巻く環境は厳しくなってきています。
夫婦共働きが一般的となり、育児と仕事の両立に悩む家庭が増えているからです。また、待機児童問題もあり、保育所に子どもを預けられない事態も多々見受けられます。このように、子育てを支援する環境の整備が急務となっています。
修正例①
最近の子育て家庭を取り巻く環境は厳しくなっています。
働くご両親の増加や待機児童問題など、子育てを支援する環境の整備が急務です。
言いたいことは、「子育てを支援する環境の整備の必要性」ですが、例の文章では周辺情報が多すぎて本題に到達するまで長いです。
上記のように周辺情報を排除したり、結論から先に書いてしまうなどで改善できるでしょう。
具体例②
健康的な食生活の大切さは、誰もが認めるところです。
近年、太りすぎや生活習慣病の問題が指摘されているのは、不規則な食生活や生活習慣が一因と考えられているからに他なりません。栄養のバランスを考えた食事をとることが重要です。
修正例②
健康的な食生活の大切さは、誰もが認めるところです。
近年、太りすぎや生活習慣病の増加も問題となっており、規則正しく、栄養バランスの取れた食事が重要です。
具体例では2つの冗長ポイントがあります。
1つめは「~指摘されているのは」と解説が長くなっている点、2つ目は趣旨とズレる「生活習慣」について書かれている点です。
栄養バランスについて言及したい文章ですので、趣旨がブレない内容だけにするのがよいでしょう。
具体例③
新入社員研修は、これから社会人として活躍するための大切な機会となります。
社会人として必要なマナーや常識、ビジネススキルを身に付ける絶好の機会です。そうした基本を押さえた上で、組織の一員としての意識も養っていく必要があります。
新入社員研修を十分に活用し、社会人としての自覚を持って行動する人材に育っていってください。
修正例③
新入社員研修は、社会人としての基礎を身に付ける大切な機会です。
社会人として必要なマナーや常識、ビジネススキルに加え、組織の一員としての意識も養う目的があります。
具体例は、必ずしも悪いとは言えません。
具体例の文章が「新入社員研修についての記事のまとめ(結び)」に入るのであれば、読者目線で上手に〆られていると思います。
一方で、「新入社員研修の目的は?」という見出しに入る文章であれば、修正例のようなものが望ましいでしょう。
書いている文章が、記事全体のどの部分に入るのかによっても判断は変わります。
いずれにしても、本来の主旨や要点がぼやけてしまうと冗長と判断されやすくなります。
原則として、WEBライティングでは簡潔で伝わりやすい表現が求められます。
本題から外れた説明を不用意に付け足すことは避けるべきです。必要な情報を的確に伝えつつ、周辺情報は慎重に補足するようにしましょう。
言いたいことが明確でない、あいまいな表現
あいまいな表現は文字数がかさみやすくなるほか、情報量が薄くなるため「長い上に、意味ない文章」と思われやすくなります。
可能な限り具体的な情報を盛り込むことで、良い文章に改善できます。
書いた文章をもっと具体的にできないか考える癖を付け、エビデンスが必要になれば都度検索して情報収集しながら記事を作りましょう。
具体例①
ストレスを溜め込まないよう、適度な運動をする必要があるかもしれません。
修正例①
ストレス解消には週2~3回の運動が効果的だと言われています。
「適度な運動」が具体的にどの程度なのか明示することで、わかりやすい文章になります。
明示する数値が、一般論なのか、発信者(メディア)の見解なのかは要確認です。前者であれば、一次情報のエビデンスを、後者であればクライアントとのすり合わせが必要になります。
ディレクターとコミュニケーションを取り、正しい数値を伝えられるように心掛けましょう。
具体例②
この料理は野菜を多く使っており、体に優しく健康的です。
野菜には食物繊維が多く含まれていて、メリットがとても多い栄養素です。
修正例②
この料理には、食物繊維が豊富な野菜を多く使用しており健康的です。
野菜に含まれる食物繊維には様々なメリットがあり、便秘解消や肥満予防などが期待できます。
「体に優しく」「メリットが多い」を具体的に言い換えることで、より説得力の高い文章に改善できます。
ただし、周辺情報を記載しすぎると情報過多になる可能性があるため、その後の見出し構成も加味しながら、どこまで書くか判断しましょう。
また、趣旨がブレないようにすることも意識する必要があります。
具体例③
子どもの学習には、様々な工夫が必要です。
その工夫の中で、子どものやる気を引き出す教材を活用することが効果的と言われています。
修正例③
子どもの学習意欲を高める工夫は様々なものがあります。
その中でも「ゲーム感覚で取り組める教材」の活用が効果的であると言われています。
「ゲーミフィケーション」がテーマである前提の具体例です。
1文目の修正で、「様々な工夫」を「学習意欲を高める工夫」として語りたいテーマに寄せています。
続く2文目の「やる気を引き出す教材」を「ゲーム感覚で取り組める教材」への修正により、趣旨であるゲーミフィケーションに自然に繋がある流れになっています。
WEBライティングでは、「端的な表現」が求められることが多いですが、「あいまいな表現」と組み合わさることで、文章量も内容も薄い手抜き記事と見なされてしまうので注意しましょう。
不必要な敬語・丁寧表現
「紹介させていただきます」→「紹介します」
「ご覧いただけますと幸いです」→「ご覧ください」
などビジネスのメール文章であれば問題ない場合もある二重敬語ですが、WEB記事だと悪目立ちするため修正しましょう。
助詞の連続
情報を詳細に書こうとして、一文の中に同じ助詞が連続すると、かえって意味がわかりづらい要因になります。
具体例①
不登校のお子さんの生活のリズムを保つのは非常に重要です。
修正例①
不登校のお子さんにとって、規則正しい生活は非常に重要です。
語順を入れ替える/名詞表現を用いるなど、一文の中で同じ助詞が繰り返されないよう見直しましょう。
冗長表現と見なされやすい細かなポイント
ここからは冗長と見なされることが多い細かな文章やポイントについて解説していきます。
自分の文章の中で、どの癖が多いのか把握するためにも1つひとつチェックしてください。
一文が長い
一文の長さは最大100文字程度であれば、テンポを損なわずに読むことができるでしょう。
ただし、権威性や品格を持たせたい時に、あえて主語を長くしたり、修飾語をいくつか含めると良い場合もあります。
明確な理由があり文章量が長くしている場合は、しっかりとその旨を説明できれば問題ありません。
冗長な文末表現
「〜することができる」→「~できます」
「〜ものである」→「~です」
こそあど言葉
「この」「あの」「このような」は削れる場合が多いので確認しましょう。
文中箇条書き
教育理念には
- ~~
- ~~
- ~~
といった意味が込められています。
このように文中に箇条書きが入ると、一文が長くなりつながりが分かりづらくなります。
上記の例であれば、「教育理念には、以下の3つの意味が込められています。」と述べたうえで、箇条書きを挿入するとよいでしょう。
不要な言葉
「~という」
「~なので」
「基本的に~」
「ある意味」
「そこで、~」
「ですので、~」
「~すること」
上記は削っても問題ないことがほとんどです。
細かな点に目を配り、文章をブラッシュアップしていきましょう。自分で書いた文章は一度頭の中で読んでみたり、ライター同士で読み合わせてみるのも有効です。
冗長表現とPREP法
冗長表現はPREP法を使う際に起こりやすいため注意が必要です。
PREPそれぞれが1文など、少ない情報量で構成される場合、PとPの文章が近くなり、同じ内容が繰り返されていると感じやすくなります。この場合、REの情報を濃くすることで対応できるので覚えておきましょう。
前提として、PREPのそれぞれを1行で構成するのは、情報が薄くなりやすく望ましくありません。
最低でも、以下の情報量は持たせて、読む価値のある文章作りを心掛けましょう。
P:1文
R:2文
E:2文
P:1文
冗長表現が起こりやすい契約上の問題
フリーランスライターに依頼する場合、契約内容で冗長表現が生まれやすくなっている可能性があります。
文字単価契約(1文字●円)の場合、報酬を大きくするために、文字数が多くなる文章表現を選択するということが起きやすくなります。発注者側からすれば、高品質な記事を低単価で納品してもらえるのが理想です。しかしライターの立場からすれば、高品質な記事には適切な報酬をもらいたいのは当然の心理です。
ライターが納品する原稿に冗長表現が目立つ場合、ライターの力量を疑うだけでなく、構造に問題がないかも俯瞰してみましょう。
ENロジカルでは、WEBライターを募集しています。
スキルや実績のある方であれば、記事単価固定の契約をベースとして、一定の文字数以上になった場合に文字単価制を適用、という形でライターがモチベーション高く働きやすい条件での依頼を心掛けています。
我こそはというライター様はぜひお問い合わせください。